Dallmeyer Kinematograph 2inch f1.9
 

Lens Data

Lens Unit

Lens Photo

・製造メーカー : Dallmeyer
・製造番号 : 121932
・設計者 : N.A.
・製造年 : 1927-8
・特許番号 : N.A.
・特許申請日 : N.A.
・レンズ構成 : 3群4枚(ペッツバール構成)
・重量 : 167g
・最小絞り値 : f11
・絞り枚数 : 14
・最短撮影距離 :  不明(改造後1m)
・マウント : ライカスクリューマウントに改造

Lens Impression

Kinematographについてはほとんど分かっておりません。資料も極めて少なく、今のところ正体不明と言う状況です。名前から、映画用のレンズであることは、ほぼ確かですが、果たしてレンズ構成がどうなのかも不明です。Kinemaと「k」で始まっているので、この個体はおそらくドイツ向けに製造されたものと推定されます。Ksmtさんの約160mmのKinematographは2群4枚のADON型と判明しておりますが、COXの本では1-3インチでf1.9のシネレンズはペッツバール型と記載されております。英語では「Cinematography」という言葉をDallmeyer社はBJPA誌でよく使用しておりましたが、一方でCinematographと「c」で始まる個体が少ないことから、もしかすると様々なタイプのレンズで、映画用にドイツに輸出されたものを「Kinematograph」と総称したようにも思えてきました。

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Dallmeyer社のカタログには頻繁に「Kinematograph」または「Cinematograph」という言葉が登場する。

キネマトグラフとは元々はフランスの発明家Leon Bouly が1892年2月12日に発明し、後に Lumiere兄弟が権利を譲り受けて実用化した、一台でムービーの撮影と映写両方を可能とした複合機を指す言葉であった。しかし、Dallmeyer社のカタログでは「シネ用レンズ」全般(撮影用、映写用)を示す言葉として使われることが多いようだ。

したがって同社カタログ中には、「Kinematograph and Photographic lenses」であるとか「Kinematograph Projection lenses」、「lenses for cinematograph cameras」などといった使われ方で登場する。一方で、「Kinematograph」が「レンズ名」として固有名詞的に登場することはあまり例が多くないため、今回のレンズの追跡はなかなか困難である。

同社ではこれらのシネ用レンズを「Kinematograph」もしくは「Cinematograph」と綴りを変えて使用しているが、その境目は不明である。ドイツ語圏では「K」、英語圏では「C」を使用とも考えられるものの、一部のカタログでは文章では「K」を使用し、画像のレンズは「C」であるなどの混用も見え、使用基準ががどこにあるのかは明確ではない。また、字体も筆記体と活字体がある。活字体のほうが後期であるものの混在時期もあり、明確な変更時期については特定できなかった。

 
50mm前後のペッツバール構成レンズは映写用のものは数多く存在するが、「撮影用レンズ」で、しかもライカフルサイズをギリギリながらカバーするものは数少ないため、このレンズは非常に貴重な存在と言ってよいであろう。
 
元来ペッツバール構成レンズは中心部分が極めてシャープである一方、周辺に向けて極端な画質の低下(像面湾曲)が生じるため、「ポートレート撮影」専用として被写体を中央に配置し、さらに画角の多くをカットして使用されてきたものである。したがって、この2インチのシネ用レンズの35mmカメラへの転用は、本来切り捨てるべき部分、そして肖像の背景としてぼかす部分をすべて画面として使用することから、オールドレンズの中でも飛びぬけてユニークが画像を提供してくれる。


 Photos with Dallmeyer Kinematograph 2 inch f1.9
 
2009
Niels Yard
(ニールズ・ヤード)

基本的に全て開放です。中心はクリアに、周辺はグルグルのこのレンズの特徴がよく表れています。
ニールズ・ヤードは最近コスメ店として有名ですが、元々はコヴェント・ガーデン近くにある路地の名前です。
ソーホーにも近く、夕方になると若いロンドン子たちが何処からとも無く集まってきます。

All phots are taken in full aperture. The main characteristic of this lens which shows so clear 
in center area and swirling bokeh 
in surroundings are seen in those photos. Niels Yard is famous as the name of cosmetic shops recently which originally is the name of a small lane near Covent Garden. Because it locates near Soho also, many young Londoner gather from somewhere in the evening.


2009
Switzerland
(スイス)
Interlaken/Grindelwald

Classic Cars

Alps

Zurich

かなり大きな作例集になってしまいました。キネマトグラフの描写を楽しんでいただければ幸いです。
絞り開放では、周辺部は主に非点収差によるぐるぐるがかなり大胆に支配しますが、中央部のピントの正確さとシャープさは、他の同様のレンズとも異なる見事な描写だと思います。
絞りを絞ると、性格は一変し、ごく周辺の一部を除いては、画面全体がクリアになります。特に描写の精細さは特筆すべきもので、山の木々の描写などはこのサイズのCCDでの撮影とは思えないほどです。


It has become a considerably big example collection. It would be greatly appreciated if you could enjoy the description of Kinematograph lens. In diaphragm full aperture, a swirling bokeh mainly by the astigmatism rules over the peripheral area considerably bold, but I think that accuracy and the sharpness of the focus of the central part is such a wonderful description that can be said even more than the other same kind of lenses. The character changes completely when I close diaphragm, and apart from very surrounding areas, the description of whole screen becomes clear. Especially the minuteness of depiction is worth of mention especially, and the description of the trees of a mountain is difficult to understand to be taken through the CCD of this size.

 
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